秋花と波くんの関係について、何も思わなくなった。
何故だろうかと思ったが、「抑圧」しているだけなのだろうという考えに達した。
抑圧――防御規制の一種で、欲求不満状態になったときに起こるもの。
ある感情を「なかったこと」にしてしまい、自分の中でのストレスを軽減させる……って感じだったはず。
面白いほどに、一気に秋花と波くんに対する思いが消えたんだ。
びっくりした。
何も考えたくないのだろう。何も思いたくないのだろう。
秋花を愛しているはずなのに、そんな感じがしない。
ついこの間まで「恋愛か友愛か」で悩んでいたはずなのに。
今はそんなことすら思えない。
愛していることは事実だけど、それについて深く考えることができない。
ただ、ぼんやりと「好き」って感情があるだけだ。
これは、苦しかったときよりも悲しいことだと思う。
私はもっと苦しむべきだったんじゃないのか。もっと悩みぬくべきだったんじゃ。
でも、耐え切れないからこうなったんだろう。
人間ってよくできてるものですね。
私はよくこの「抑圧」が働きます。
だから、すごくストレスを溜めにくいんです。
でも、今回に関してはそれは働かないでほしかった。
波くんに対する憎悪や秋花と波くんの関係に関する嫉妬等と一緒に、秋花への愛も薄らいでいるような錯覚に陥っているのだから。
愛しているのに、愛しているのに。
愛すれば愛するほど、嫉妬や憎悪が膨らんで。
嫉妬や憎悪が薄らげば、愛も一緒に……。
もうちょっとうまく、感情をコントロールしたい。
大丈夫だよね、できるよね。
ネガティブな自分に嫌悪です。
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