一昨日、
卯刻の家に泊まった。
勉強して、ご飯作って、お話して、お菓子食べて、セックスした。
卯刻が別れてからは初めてのセックスだった。
彼はきっと、「割り切っている」のだろう。
恋愛感情ゆえの行為ではない。
ただ、寂しさを埋めるため、快楽に溺れるための行為。
じゃなきゃ、「私達、友達なんだよね」という発言に「仲良しってことだよ」なんて返し、しないだろう。
二人でいて楽しいけど、秘密の関係なんて、つらいだけだよな。
罪悪感が増えていくのに、彼との時間を確保したい欲求に駆られるの。
そういえば、中学生で初めての彼女が出来たときも、最初は誰にも秘密だったな。
秋花にも秘密だった。
秋花も彼女が好きだったから、さ。
どういう「好き」かはわからなかったけど、「好き」なのは確かだったし、女性同士というのがまず、伝えづらかった。
誰にも言えないのはつらかった。
思いを、悩みを、誰にも言えないことは、孤独を感じた。
でも、人に言えない恋愛はそのときが初めてではなかったのよね。
一番最初の恋愛は、秋花にも言えなくて。とはいえ、ある友人には言えたの。
今はあまり交流のない子だけれど、当時とても仲が良くってね。
だからある意味、慣れていたのかも。
そもそも、好きな人が出来ても人にいうことがない人間だったからな。
私の恋愛に秘密は必須なのかもね。
恋愛とは人間の恥部である。
とでも、思っているのかな。
きっと今、卯刻への接触をなくしたら、彼は女友達Aの告白に応じるだろう。
少し御幣のある書き方だが、まだ女友達Aは卯刻へ告白してはいない……はずだ。
ただ、最近女友達Aと卯刻がなんとも、仲よさげなのである。
なんだか、甘い雰囲気というか、私や
笑芽、
君玖と接するときの態度と、少し違う気がするのだ。
気のせいかも、知れないが。
昨日、大学の友人達と飲み会をした際にもそれは感じた。
彼、酔うと甘え出すのだが、昨日は主に女友達Aに甘えている印象であった。
最近の彼は酔うと女性に甘えるのだが、そうしはじめたのはきっと彼女と疎遠になってからで、最初は笑芽に甘えていた印象だったが、どうも女友達Aに行くことが多くなったように感じるのだ。
なぜだろう。
卯刻は女友達A を好いているのか?
恋愛感情的な意味で、特別な愛を持っているという意味で、好いているというのか?
笑芽は卯刻を好きであった。
今も好きである。
彼女は以前彼に告白をするも、曖昧な表現ではあったが「友達として好き」と返され、彼への思いには蹴りがついたはずであった。
しかし、彼が酔うと甘えだし、想いがぶり返した。
そして、女友達Aの存在。
彼女に彼が甘えるところを見て、嫉妬する心があるとつぶやいていた。
「もし女友達Aと卯刻が付き合うことになったら、私は心からは祝福できない」と。
「きっと卯刻のことだから女友達Aから告白されて、振るわけがない」なんてことも言っていた。
私は「そうかな?」と返したけれど、それは希望でしかない。
私とは付き合わないのに、女友達Aと付き合うなんて、アリエナイ。
そう思っているの。
笑っちゃうわよね、どれだけ自信過剰なのかしら。
でも、付き合ってなんて欲しくないの。
彼はこのまま、誰とも付き合わないで卒業して欲しいの。
そして、卒業後、私と付き合って欲しい。
卒業後なら、笑芽もきっと想いが整理できているはずだから。
卒業前付き合うことは、笑芽を悲しませるから、絶対したくない。
すでに彼女を悲しませる行為をしているのに、笑っちゃうわよね。
何してるんだろう、私。
笑芽の幸せと私の幸せは対極のところにある。
ただ、女友達Aの幸せと対極であるという点では、同じであるとも言えるけれど。
……なんで、卯刻に告白なんてしてしまったのだろう。
しなければ良かったな。
ああ、馬鹿だ、私。
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