先週、私と
笑芽は
卯刻の家に数日間泊まった。
そのうち、2日目には
湖北が来て、また最終日前日には
井達と女友達A、男友達Bが来た。
お泊り中、笑芽と二人でガールズトークをする機会があったのだが、そこで私は少々衝撃を受けた。
女友達Aが卯刻を好きだという情報を、井達から仕入れたらしい。
井達は以前、笑芽に対し「笑芽と卯刻は合う!」と二人の仲が深まることを望んでいた。
しかし、笑芽は卯刻を友人としか見ていなく、恋愛対象として見ることはなかった。
とはいえ、気にはなる。
もやもやした状態であったのだ。
そこで入った女友達Aが卯刻を好いているという情報。
笑芽は困惑していた。
彼女は酒の席で卯刻にいちゃつくことがしばしばあったため、卯刻に学校内で恋人が出来ることに抵抗があったのだ。
おっと、ここで確認しておくが、卯刻には遠距離恋愛中の彼女がいる。
……が、しかし、最近別れそうなのだ。
卯刻の性格から言って、フリーになりアタックされたらいとも容易く了承しかねない。
となれば、女友達Aからすればチャンスである。
だが、笑芽は酒の席で卯刻に絡めなくなるというならば、飲み会には行きたくないと言うのだ。
それは、私が嫌だ。笑芽のいない飲み会など、レモンのない唐揚げだ。
卯刻が彼女と別れるのは時間の問題であろう。
しかし、彼が自分を好いてくれる人を拒否出来るか?
出来まい、彼はそういうタチなのだ。
そこで私が考えたのは、
私が秘密裏に卯刻と付き合うというものだ。
思い立ったが吉日。
笑芽とガールズトークをしたその日の夜、笑芽が就寝した後、私は卯刻に告白をした。
これは、今までの恋愛ゲームとは一味違う。
きっかけはゲーム感覚だったが、実際、私は卯刻を好いている。
強く強く、好いている。
私は以前から友愛も恋愛もわからずに過ごしてきた。
ならば、どちらも同じこと。
もはや愛の種類に関係などない。
愛しているのは、事実だからさ。
現在はまだ恋人がいる彼だから、また冗談めかして言ってしまったから、軽く流されてしまった。
それでも構わない、彼が私の好意に気付いてくれたら、それだけで罠は仕掛けられた。
しかし、最終日前夜、私はお酒を口実に、彼にキスをしてしまった。
周りの友人達には気付かれないよう配慮したが、井達あたりは気付いていそうな気がするな。
さて、大学の親しい男友達、それも恋人がいる男友達にばかり手を出すこの悪魔は、厳罰されるべき対象だ。
少しは反省をすべきなのだ。
しかし、私は楽しんでいる。
この状況を、心の底から楽しんでいるのだ。
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