旅行は本当に楽しかったな。
笑芽が
卯刻とあまり関わりたくないと言っていたから、席は基本的に私と笑芽が隣同士か、私と卯刻が隣同士だったの。
車内では特に、私はつねに卯刻の隣だった。
プールでは、一度笑芽と
井達とはぐれてしまったりもして。
はぐれたといっても、流れるプール内のこと。
私が卯刻に引っ付いて、彼が速く進むものだから、二人を置いていってしまったのだ。
引っ付く私に「(お前は)彼女か」と呆れ声の卯刻。
はぐれた最中、どんな文脈かはうろ覚えだが、「(ottoのこと、ottoとの関係が)嫌いじゃない」と彼。
「『嫌いじゃない』……というのは、つまり好き? 嫌いではないんだから、好き?」と聞くと「ふざけんなよ」と苦笑していた。
そこで「私は好きだよ」と言うと、「それ、みんなの前で言えるの?」なんて意地悪なことを言う。
「絶対に無理。死んじゃう」笑芽に知れたら、どうしようもない。
また、井達が運転していた際、私と卯刻は後部座席に座っていたわけだが、卯刻は何度も眠気に襲われていた。
そして、私に寄り掛かる。
また、潔く横になり、膝枕とまでは行かないが、私のももに頭を当てていたりもした。
そういう甘えん坊なところが好きだ。
自分にだけしてくれるなら、なおいい。
無理なんだろうけど。
そして、二日目の夜の出来事。
キスはさすがに焦ったけど、気持ち良かった。
それに彼が私を求めていたのを感じることが出来たから。
卯刻関係のみを見れば、非常にいい旅行。
でも、笑芽のことを考えたとき、私は裏切り行為を犯してしまった。
もともと裏切り続けている状態だけれど、ね。
彼女が、または井達が、私と卯刻との関係を、どこまで気づいているのか。
全く気づいていないのか。
確かめようがないし、確かめられる状況になってしまったら、アウトだ。
PR